ダイナ

ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド ゾンビの誕生のダイナのレビュー・感想・評価

3.9
モール立て篭もりの魅力を教えてくれた「ゾンビ」監督ロメロの出世作。ゾンビという存在を調べてみるとブードゥー教の術を発端とするそうで、いくつかのゾンビジャンル映画を経て、昨今のゾンビ映画の基本形(代表的な所で言うと噛んだ相手もゾンビにする特徴)となる本作が生み出されたとのことでジャンルの転換点な一作。

指揮系統の分裂による混乱の悲劇や情報取得の重要さが身に染みる、シンプルで無駄な回り道のないシャープなプロット。継承ゾンビ作品が多すぎてそれらの作品を映画ドラマ漫画様々な形態で受容している我々からしたら本作で恐怖できるかと言われたら微妙な所ですが、純粋にゾンビものの教養として王道要素の生まれに注目しながら鑑賞すると面白いです。

異常存在相手にした時の身内での軋轢はもうこの時点で描かれていて、しかしその展開に辟易させる暇もつかせぬくらいゾンビも屋外からプレッシャーを仕掛けてきます。外からも内からも不安が蔓延するワンシチュの中で登場人物が増えて減っての展開の目まぐるしさが良かったです。昨今はゾンビ系に限らず「怪物ほっといて人間同士で争ってばっかりやんけ!」という批判をよく耳にするけど本作はいい塩梅のようなという個人的見解。屋内の対立キャラや、内部と外部の違い、こっちとあっちで気持ちが交わらないもどかしさも印象深く残るポイント。ミクロで必死にやっていてもマクロではその深刻さや背景に思慮が至らないなんて部分に悲哀を感じます。
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