hagy

イワン雷帝のhagyのレビュー・感想・評価

イワン雷帝(1944年製作の映画)
4.0
雷帝と恐れられた16世紀のロシア皇帝、イヴァン4世のカリスマ性を描いた大作です。
今から400~500年くらい昔、まだ貴族がいたり、ヨーロッパでは宗教改革が行われていた時代、ナポレオンよりずーとずっと前です。


エイゼンシュテインは『ストライキ』と『戦艦ポチョムキン』を観て衝撃を受けたんで、
映画館で観たらどんな印象になるのか興味津々だったんですけどね、
この映画は、切り替わりの早さとか、映像と文字が交互に出てきたり、ウィットの効いてるユーモアだとか、
そういうのはなかったです。
かといってつまらなかったというわけでは全くなく、(勝手な)期待を裏切られた落胆を大きく上回る描写に圧倒されて私は劇場を後にしましたよ。


良質な生地に、装飾がこれでもかと散りばめられた豪華な衣装をまとう人々、教会に集う人の配置の美しさ、
なんといってもまつ毛ばちばち怖いくらいの目力のイヴァン4世の圧倒的存在感。
この教会での戴冠式、まさに圧巻のスタートです。


第一部は、南下政策として中央アジアのカザンとの戦闘の様子。
第二部は、貴族とのバトル。側近、妻、昔の友とのあれこれ。

陰謀のエピソードも面白いし、ラストの宴会の様子はもう大好きです。一面赤で塗られるのですが、この赤が重厚で素晴らしい赤で画面の躍動感に負けません。
照明も効果的に使われていて、素人目にも楽しませてくれます。


長尺で、ロケーションに乏しく若干ダレを感じたのですが、そんなことはきっと第三部で挽回できる予定だったのでしょう。制作禁止されたみたいで、、
どんな結末が据えられているのか、知りたかったなぁ


歴史好きだし、ストーリー以外も見どころ満載で面白かった。
すっかり私はエイゼンシュテインの虜のようです。
hagy

hagy