こつぶライダー

キミとボクの距離のこつぶライダーのレビュー・感想・評価

キミとボクの距離(2016年製作の映画)
4.3
純粋な気持ちって素敵。歳を重ねるとピュアさはなくなってしまいがちだが、こういった作品に出逢う回数は上がる。いつだってピュアになれる。ぴゅあぴゅあはーと。

昔むかし『母をたずねて三千里』という物語があった。
三千里とは約1万2000キロメートル。
対して、火星から地球までは7528万キロメートル。
現代の科学では映画のような移動は困難なことは承知だと思うが、数字にすると途方もない距離だと分かる。

今作は、母親ではなく父親を探す旅。
火星で産まれた主人公ガードナー少年にとって、地球は我々からしてみたら火星のようなもの。とにかく環境すべてが異なるから大変。でも彼はポジティブだ。目新しい環境に高揚感を感じながら旅を続ける。

彼の唯一の地球との繋がりである少女タルサ。孤児として里親を転々としている彼女にもガードナーと同じ孤独が漂う。
タルサとの恋愛描写がとにかく微笑ましい。あんなウブな演技、本人は観返すことが出来るのかな?ってくらいに。

物語の主題となる父親に関しては、割と早い段階で想像はついた。ただ、物語の軸となるのはあくまでも彼の成長物語だ。その点に関して、SF要素をふんだんに入れて描いており面白かった。
それと、展開は早いものの、科学的根拠の説明も丁寧にしていたため、多くの人が理解しやすくなっていると思う。
ヴィム・ヴェンダースの名作『ベルリン 天使の詩』をモチーフにしていたことも、分かりやすくて良かったですね。こういうのを分かりづらくして、後から「あれのオマージュなんですよ」と監督が言ったりもするけど、ちゃんと分かりやすい方がこの内容にはマッチしてると思いますね。

1番気になったのがタルサの配役について。
演じたブリット・ロバートソンは公開年27歳。16歳の役には歳が開き過ぎている。
また、主役のエイサ・バターフィールドの7つも歳上。それはそれは違和感しかなかった。
調べてみると、タルサの精神年齢の高さを出すのに歳の差は役立ったとロバートソン自身が言及しているが、それとこれとは別な気もする。
ただし、彼女の演技はまさしくティーンネイジャーだったし、文句はない。良かったですよ。

うん。個人的にはかなり好きな部類のお話でしたね。忘れた頃にまた観たくなるタイプかもしれない。そうだ、心が汚れてるなと感じたら再鑑賞しよう!
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