ちろる

ヒズ・ガール・フライデーのちろるのレビュー・感想・評価

ヒズ・ガール・フライデー(1940年製作の映画)
3.8
元々のオリジナルはブロードウェイの戯曲『フロント・ページ』。後にビリー・ワイルダー監督がのちにリメイクしている本作。

ます、オリジナルと異なり本作は、主人公ヒルディを女性にしている事で恋愛を絡ませアレンジを効かせている。
ちなみに「ロビンソン漂流記」より“頼もしい男”の意味で用いられるフライデーという愛称から、頼もしい女性を“ガール・フライデー”と呼ぶようになったのはこの映画がきっかけだそうな。

編集長ウォルターと離婚したばかりの女性敏腕記者ヒルディ。記者稼業に嫌気が差し堅気の男性ブルースとの再婚を予定していたが、彼女に未練があるウォルターはヒルディに警官殺しの罪で死刑が予定されているアールの取材を頼む。
だが早速取材に出かけたヒルディは、アールの罪に疑問を抱きはじめ……。

はぁ、マシンガントークだらけ。
とにかく展開が早い!

これを単なるうるさいドタバタコメディととるのか、それとも粋な会話劇と取るのかによって印象が変わってくると思いますが、
私は後者で、嘘八丁はもちろんのこと、時には相手が自殺するまで追い詰める「殺人以外は何でもやる」そんな人間のクズのような新聞記者たちのドス黒い仕事ぶり、この業界の暗黒ぶりをグサリと鋭く描き込む辛辣な内容なのにをまさかの爆笑コメディに変えてしまう脚本の素晴らしさに脱帽した。

ちなみに1930年代初頭から1940年代にかけてハリウッドで多く作られた、突飛な行動をとる登場人物が出てくる激しめのラブコメを、『スクリューボールコメディー』というらしく、「赤ちゃん教育」なんかもこれに当たる。

たしかにどちらもよく練られた脚本、目が追いつけない程の台詞に普通じゃありえないかなりのドタバタストーリーなのに、なぜだかうま〜くまとまってるのが凄い。

ヒロインが女性にしたことによって、ラストの降伏がちょっと面白くなっていて笑った。

「フロント・ページ」と違った印象で、脚本も大きく異なりそれぞれの楽しみ方があるので比べて観るのがおすすめ。
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