核兵器が乗った貨物列車のブレーキがなんと壊れてしまい緊急事態。止めなければデンバーの街が大惨事に！
列車は止めるために奔走するシーンは乗り物パニック特有のワクワク感ありますし、中盤以降あるバカ展開を経て未曾有の大惨事に！のくだりは必見です。当時小学生の私が口開けて呆然とした思い出があります。とにかく衝撃映画ですので見てください。

貨物車のブレーキが故障し大暴走。
なんと中には核兵器が詰め込まれており、列車が脱線すると大惨事に。
この事態を収めるべく、1人の鉄道職員が立ち上がった。。

【↓以下、ネタバレがあります↓】



列車暴走系の映画の中で、個人的に結構好きな作品。
通常、この手のパニック映画は無事に爆発を阻止できると思いますが、この映画では爆発を止めることが出来ず、バッドエンドに突入してしまいます（笑）
８割方、爆発を阻止出来ていたのに、チョンボにチョンボが重なっての大爆発。
爆発ピタゴラスイッチを是非見ていただきたい。

核爆弾を積んだ暴走列車をNTSB職員たる主人公が安全に止めようとするが失敗、転覆させて無理矢理止めてNEST職員たるサブキャラが核爆弾を解体しようとするが失敗、核爆発が起こってしまい……。
という、乗物パニックと大災害サバイバルを組み合わせた作品。

面白いことにチャレンジしているとは思うが、全体としては失敗している。
乗物パニック映画としては、列車を止める試行錯誤が少ないし、奇抜なアイディアも出てこない。何より後半のために「うまく停車させる」は達成されないため、主人公は役に立たずで終わる（というか結果的に、主人公が頑張ったために街の被害が大きくなったような……）。
核爆発後の世界で隣の州までの避難を描く後半は、避難のための移動手段が都合よく主人公家族の元にやってくるのが面白くない。家族が分断した後に起こる様々なサスペンスも、余りに小さく下らない問題な上に、核爆発や放射性物質とはなんの関係もない。

上記のように、乗物パニック映画としての前半と、大災害サバイバル映画としての後半の要素が、各々を食い合っている。しかも後半のサバイバルは、前半の乗物パニックに完全に負けてしまっているので、実質的なクライマックスの核爆発以降、急速に緊迫感が下がっていってしまう。

かといって、個々のエピソードの質が高いかというと、そんなこともない。登場人物の全員が全員、割りと無策なまま事態に飛び込んでいき、当然のように窮地に陥り、当人のみならず全体を悪い方へ導いていく。構成上、状況が悪化していくのは仕方ないのだが、「仕事できるヤツが全力を出したけどダメだった」感は出してくれないと、感情移入しようがない。問題解決のために努力して死んでいく脇役も、その死が後で報われるわけでもないので、感動も生まれない。
編集の問題もある。「核爆弾の解体」と「街からの避難」という、緊迫度も時間の進み方も異なるシーンをカットバックして見せるので、感情の盛り上がりがいちいち分断されてしまう。
状況がなにも解決しないうちから、感動音楽をバンバン流すのも「今どういう状況だっけ？」と集中力に影響が出てくる。

とは言え、「ボンクラなヤツらが真面目な顔して右往左往した挙げ句、事態をどんどん悪化させていくスラップスティックコメディ」だと思って見ると、プラス一点したいくらい笑える作品ではある。
「親から子供を預かってバイクで走っていた男が、フクロウに驚いて転倒、自分は十数メートル下に落ちて半身不随、子供は後から車でやってきた親に助けられて、男は死ぬ」って、意味がなさ過ぎてコントにしか見えない。男を助けようとしたロープが下に落ちちゃう件は、我が家が爆笑の渦に包まれたほどだ。
あと、エンディングを含めて劇中三回も繰り返される、特に役に立たなかった大統領がテレビで「特に対応手段はないけど皆さん頑張ってください（意訳）」的な演説も、天丼ギャグとしてなかなかよかった。パニックの渦中の街のトーンとはまったく合わない、「なにかが解決したようないい感じの音楽」に乗せているのもナイス。
三年前の『インデペンデンス・デイ』の演説を真似たのかもしれないけど、まあ、面の皮が厚いよね。

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