chi

悪い子バビー/アブノーマルのchiのレビュー・感想・評価

3.8
生まれてから35年間、外に出ると毒ガスで死ぬと信じている毒親に家に閉じ込められていた男が初めて外の世界に出る話。
すごい映画だった。作り手のエネルギーを感じる作品だった。この作品をどう受け止め消化すればいいかわからず、数日間引きずっている。
神に見張られ、トイレにも行けずに椅子に座り続ける導入。自分がされたのと同じことを猫にする無垢という名の無知さ。母親だけの世界。犯罪も知らなければ命の重さも人の尊厳も知らないだろう。
外の世界には見たこともない小さい人間"子ども"もいるしピザもあるし音楽もあった。障害者との出会い。彼には偏見もないのだろう。そしてエンジェルとの出会い。あんなラストが待っているとは思わなかった。泣きそうになった。
バビーが、自分が言われた言葉を発したり歌ったりするたびにハッとした。人は与えられたものしか与えられない。

エンドロールにカメラマンがあれだけ並んでいるのは初めて見た。場面ごとにカメラマンを分ける撮り方があるんですね。斬新。

30年前の映画。なぜ今公開されたのか謎ですが、偶然見つけて鑑賞。今、映画館で見られて幸運でした。

猫好きは見るの注意。
chi

chi