染夫木智也

悪い子バビー/アブノーマルの染夫木智也のレビュー・感想・評価

5.0
冒頭から殴られたような衝撃を受ける映画。
The ヤバい映画

実はこの映画、1993年に制作された映画で30年の時を経て、日本で初公開された。
※過激な内容が原因だったのかな。

あらすじを見ると、外に出ると汚染された空気の毒によって死んでしまうという母の嘘を教えられ、35年間家に監禁された男性の話。

コメディのようなあらすじやけども、全然違う。ブラックユーモアというべきなのか。
とりあえず言えることば「ヤバい」

冒頭からヤバさ全開。
見た目は少しハゲたおじさんが、おそらく風呂が無いからか全裸になって母親に体を拭いてもらっている。もちろんモザイクなんてないし、フルバビー。
夜になると、母親はバビーを呼び、性欲を満たすために息子とセックスをする。
外は空気が汚染されている、じゃあ家の猫はどこからきたの?って質問に猫は息をしないと答える母親。それを無邪気に信じて、窒息させて猫を殺しちゃうバビー。
顎が外れるくらいの冒頭シーン。
これだけで結構疲れます笑。

だが、この後が本番。
いろいろあって初めての外の世界。
見た目は大人、頭脳は子供、いわゆる逆名探偵コナンくん状態のバビー。
常識もないから、常に危なっかしい行動を取りつつも、人の真似を繰り返し、少しずつ成長していくバビー。

まったく先の読めない展開に終始、ハラハラさせられるが、人や音楽との出会いによって気がつくとバビーを応援し、感動している自分がいた。

神に祈らされていたバビーが、ある人から「神を信じるな、自分自身責任を持って生きろ」というやりとりが非常に印象的だった。

誰も縛ることのない外の世界に飛び出したバビーが誰と出会い、どのように生きるのか。ぜひ見てほしい。

舞台裏の情報としては、予算や撮影期間の問題で専任のカメラマンを雇えず、シーンごとに異なるカメラマンになっていたらしい。
確かに、シーンごとに撮り方が違うんやけど、その不安定さ、常に新しい何かと出会うって感覚が本作と非常にマッチしていたと思う。

30年前に制作されたとは思えない普遍的なテーマを描いており、それと同時に現代では映像化難しいほど攻めた内容になっている本作、これは名作といっても過言ではなし。