けーはち

少林寺列伝のけーはちのレビュー・感想・評価

少林寺列伝(1976年製作の映画)
3.6
少林拳士達の群像劇。復讐や世直し、反清復明など様々な目的で少林寺に入門するがそんな彼らに師や兄弟子はすんなり武術を教えてはくれない。ただ薪割りや炊事など武術と無縁に見える雑用も基礎動作を叩き込む意味があり、その上で本当に意欲があれば機会を与えるので盗み見て覚えよ、というのは今やカンフーもの定番の展開。クライマックスの清朝による少林寺弾圧は史実ゆえ避け得ない既定路線だが、本作では高僧や弟子に清朝のスパイがおり、苦楽を共にした仲間を背後から襲うというビターな展開。拳士達は教わった技を発揮して侵略者と裏切者に対峙するが、数に勝る清軍に蹂躙され、一人また一人と倒されて散り散りになる物悲しい幕引き。寺から逃げようとする弟子を懲らしめるための高速回転する木人の罠などトンチキな仕掛けがあったりカンフー映画らしいおおらかなコミカルさも横溢するが、基本的には当時のショウブラザーズ映画のスターを集めたアツいスポ根と儚い友情に加え大河ドラマ的なシリアスな滅びの物語になっている。