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旅情のavantgardeのレビュー・感想・評価

旅情(1955年製作の映画)
4.5
すごい昔に観ていたのだが、これがデヴィッドリーンの作品だと知らないでいた。
デヴィッドリーンは恋愛作品を作っているのが最も楽しい時間だったと言っていた。
この映画を観ているとそれが伝わる。
ひとりの真面目なアメリカ女性が長年の夢だったヨーロッパ旅行の最終地にヴェニスを訪れる。
それまで仕事ひとすじで、気がついたらもう若くはなくなっていた。
でも心は誰よりも透明な少女のままだと思っている。
そんな女性が、ロマンスの妖気漂うヴェニスの地で、まるで約束されていたかのような出会いをする。
音楽も素晴らしいし、ロケ地であるヴェニスが異国情緒に溢れた街で、観ているだけでそれはもう、うっとりさせられる。
80年代後半、nhkの名画劇場で観たのだけど、解説は今は亡き西村晃氏だった。
上映後、氏が、劇中のイタズラ坊主が最後に優しいところを見せてくれたシーンで、少年の服に虫がついたままだったところを指摘し、それがデヴィッドリーンの粋な演出だと語っていた。
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