碧

旅情の碧のレビュー・感想・評価

旅情(1955年製作の映画)
4.0
古い映画だし当時40代とのことだけど、キャサリン・ヘプバーンは表情や着こなし、立ち居振る舞いがとても愛らしい。
列車に乗っているときの襟元がフワっとした茶色のジャンパースカートは髪色と合っていて可愛いし、街で着ていた清楚な白いワンピースは歩くと優雅に揺れて、クラシカルな美しさに見とれてしまう。写真をとろうとして運河に落ちても、慌てず泳いで岸にあがってきて宿へ走って帰ったのにはびっくり。そのタフさに爽快だった。
宿でピンクのワンピースを着て、ハイヒールの足をテーブルにかけて座っても下品に見えなくてスゴイ。
デートに向かうオフショルダーの黒いドレスはほっそりした首を際立たせてエレガント。

ベニスの街は壮麗な装飾を施した大理石の建物や、夏の日差しに映えるシックな町並みや石畳、動く精巧な彫像、人懐こくて賑やかなイタリアの人々がとても魅力的。いたるところに運河や水辺があって、特に夜の運河の澄んだ深い紺色が、ゴッホのローヌ川の星月夜や夜のカフェテラスのようで美しい。

恋愛がメインなんだろうけど、それよりもキャサリン・ヘプバーンの年をとっても愛らしくてきりっとした美しさと、そこに住む人々も含めてベニスの素晴らしさが心に残ってしまった。
碧