ぴろぴろ

旅情のぴろぴろのレビュー・感想・評価

旅情(1955年製作の映画)
3.6
午前10時の映画祭

ナポレオンが世界でもっとも美しいサロンと称したサンマルコ広場。
この広場に、今も昔も世界中から老若男女が集う。 実際出会いの一つや二つ、いや、そんなもんじゃあ済まないだろう。
今から20年以上前の独身時に、友人とのイタリア旅行でヴェニスに行った。その時の現地ガイドがこの『旅情』を絶賛していて、帰国したら必ず観るように言われた。 そんな事すっかり忘れていたが、今回観る機会を得て思い出した。
キャサリン・ヘプバーン演じるアラフォー女性ジェーンの欧州一人旅。 美しい水の都ヴェニスで出会うイタリア人男性との束の間の恋。
これ、きっと20年前に観ても面白さが分からなかったかも。
今だから分かるオンナ心。 もう、いちいち分かる。 そしてイケメンイタリアンの壁ドンまで‼︎ オトナの恋愛、ベタベタなメロドラマ。
この美しい景観の中だと、勘違い じゃなくて、運命の出会い 的な、人生が変わるような、何があっても説得力が有る。
ヴェニスは救急車もパトカーも船で、運河沿いのレストランで食事をしていた時にパトカーがすごい勢いで通った後、1人のイタリア人男性が近付いて来て、私たちの足元に置いていた荷物を掴むのが見えた。『ドロボー‼︎』と思ったのと同時に波がザッブーン。 その人も私達も靴がびしょ濡れになったのに荷物やお土産は濡れなかったという思い出がある。 こういう事をさり気なく出来ちゃうイタリアのメンズ。 この映画のレナートも、ジェーンが現れると同時に演奏が始まるように手配しておくというニクい演出をする。 そりゃあ、トキメクって。
ジェーンの選択はオトナの女性らしく賢く潔い。 そしてあの有名なラストシーンへと繋がっていく。
この美しい思い出が有るだけで、この先ずっと1人で生きて行ったんじゃないかな⁇なんて思ってしまった男前なラストだった。

マリオのゲームをしてると、マリオが『オーキードーキーOkey,dokey』と言う度に、昔、テレビの映画か何かで子供が言ってるのを聞いた記憶が有って、何だったかが分からなかったんだけど、恐らくこの『旅情』だったんではないかと、個人的に決着がついたのも良かった。
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