茜

モスキートの茜のレビュー・感想・評価

モスキート(1994年製作の映画)
3.8
この「で蚊い」っつうナンセンス過ぎてハイセンスなキャッチコピーだけで好きになりそう。

墜落したUFOに乗っていた宇宙人の血を吸った蚊が、放射能の影響だかで変異してデッカくなっちゃった話。
そもそもUFOが落っこちてくる方がヤバいと思うんだけど、これについては気持ちいいくらい豪快にスルー。

キャッチコピーのテンションに偽りはなく、この映画、パニックムービーなのにすっごい緩い(笑)
初っ端からカップルの乗ってる車の窓に巨大蚊がぶつかってベチャッて潰れるんだけど「何か轢いた。鳥かもね。」って全然動じない。
3人組の強盗団の一人が蚊に襲われて、他の奴らが蚊を撃とうとして仲間に当たってそいつが死んじゃうんだけど、何ら悲壮感もなく「オーマイガー」で終わる。
蚊の侵入を阻止するため窓に木片を打ち付けるシーンでも、手つきが休日DIY並みに呑気なので、すぐそこに巨大蚊が居るのにマジで緊迫感がない。

俳優の演技もマジで臨場感がなくて、人間同士の殴り合いも明らかにフリだと分かるスッカスカのパンチ&キック。
斧で切りつけられるシーンでも、確実に斧の刃は肌に当たってないのに血糊だけはついている。
もう段々観てて面白くなってきたんだけど、極めつけにタイヤに挟まってぐるんぐるん回転する巨大蚊なんてシーンまで挟み込まれて流石に吹いた…何だよこれぇ…(笑)

その一方で巨大な蚊や大量の卵・血を吸われた人間のミイラといった造形は、チープながらも意外と力が入ってました。
所々にストップモーションアニメが使われていたり、眼球破裂するグロシーンなんかも、手が込んでて頑張ってる感が伝わってくる。
映画自体の緩いテンションと、蚊の作り込みに対する熱意のアンバランスさに笑ってしまう。

そんな中でひと際輝く存在感を放っていた強盗団のボス、悪魔のいけにえでレザー・フェイスを演じた方なんですね!
今作でもチェーンソー抱えて「これを手にするのは20年ぶりだ!」なんて台詞まで。
ここだけでも観る価値はあったし、蚊の造形は結構好きだったし、意外とあっという間に90分過ぎてたので、何だかんだでコメディホラーとしては充分面白かった。
茜