コンクラーベとは、根比べのことではなくて、
ローマ教皇の選挙のことです。
ダン・ブラウンの「天使と悪魔」を読んだり、
映像化作品を鑑賞したりしたことで興味が湧いたので、
ついでに、見ることにしました。
15世紀のコンクラーベを題材としたものなので、
「天使と悪魔」と直接的な関係はなく、
邦題はバカなジャップが便乗商法的に付けただけと思われます。
1458年に行われた教皇選挙を巡る、多数派工作の裏話。
故教皇の甥っ子で若きカーディナル(枢機卿)の
主人公が巻き込まれるというものです。
曲がりなりにも聖職者達による選挙なので、
オリンピック招致などで思い描くような、
酒池肉林接待などのあからさまなものではないのですが、
それゆえに、権力欲に焦点が絞られ、
むしろ濃密でいやらしい感じになっていてグッドだと思います。
選挙に参加するカーディナルスは18名と少人数で、
100名くらい参加している「天使と悪魔」内での現代のコンクラーベとは大違いです。
現代のものに比べて、様式化が不十分なようで、
壮大さに加えて厳かさにも欠けるかなと感じました。
その分、一票の重さが感じられるものでしたが。
クライマックスとなる最終決定方法は、史実なのか確認できませんが、
明らかに早い者勝ちで公平性に欠けてしまってダメだろと思いました。
冒頭いきなりの主人公のベッドシーンや、女がらみの描写は、
作品としては余計だったと思います。
女優はとても美しく魅力的で良いのですが、
地味な作品なので観客サービスを狙って、取って付けたように思えてしまいました。
人間の欲望というところで絡めているとしても、
うまくバランスが取れていないというか、焦点がぼけてしまうと言うか。
主人公の不在時に、その女にちょっかい出す男とか、それに応じている女とかの、
中途半端に下世話な挿話を、
本筋にどう関連づければ良いのかよくわからずモヤモヤする感じです。
厳かな儀式の裏に渦巻く人間の権力欲に焦点を絞って、押し通して欲しかったですね。
カーディナルの正装も現在とは異なるのですが、
ツバの大きい赤い帽子が厳かさには欠けるものの、
旅人のようで単純に格好いいと思いました。