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ハードエイトの346のレビュー・感想・評価

ハードエイト(1996年製作の映画)
3.9
ポール・トマス・アンダーソンは大好きで思春期に観たブギーナイツ、マグノリアにはかなり影響を受けていると思う。だからインヒアレント・ヴァイスまで新作が上映されるたびに全て観てきたけど、この作品だけは大事にとっておいた。
というより、
正直に言うと、学生時代に大好きなP・T・A作品を語ってたら、ハードエイト観てないとだめだよと知り合いから言われたことに何か腹立って今までに観てなかった。そんなことってありますよね?

そんなこんなでようやく観たハードエイト。
良くも悪くも1作目だと思う。
これがあるから、これが撮れるからブギーナイツ、マグノリアに続くんだと思う。いきなりその2作は絶対、企画通んないもん。信用がなければ、『普通の映画を普通に撮れる』という結果がなければ、冒険もさせてもらえないから。

だからといって凡庸じゃない。
あのラストシーンから逆算して撮ったと思えるぐらい、最後は決まってた。
誰もが大なり小なり袖口を汚すような罪を隠して生きている。生きるということはどこかで間違いを犯してしまうものなのだ。

じゃあ真相を語らない彼は嘘つきなのだろうか?シドニーが電話向こうのジョンに語ったことは嘘なのか?いや、あれは真実だ。嘘の上に真実が成り立つことだってあるのだ。その嘘が人を救うことだってあるのだ。その逆もしかり、奪うこともあるのだけれど。
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