ユウ

臨死のユウのレビュー・感想・評価

臨死(2007年製作の映画)
3.0
 裕福だが毒親育ちゆえ幸福を感じられない高校生のニックが、これまた親の愛を受けずに育った同級生で不良のアニーに殺されてしまう。しかし、ニックは死に切れておらず“臨死”状態になりアストラル体で彷徨いながら自分の殺人事件を追って行くという内容。

 アストラル体の描写がとても面白い。実態は存在し、物や相手に触れることができるが、カメラがパンするともとに戻っている。アニーにブチ切れて屋上から落とすも、カメラがパンすればアニーは落ちる前の場所にいる。非常に映画的、というよりYouTubeのアイデア動画よりの手法(笑)で全編を貫き通す。

 見始めたらその設定の思い切りの良さにワクワクできるのだが、全員からもれなく無視される主人公を追って行くのはだんだんしんどくなってくる。触れても元に戻るので実態のないアストラル体でも話は同じことで主人公は結局「見る」ことしかアクションを起こせない。映画を「観る」我々が殺人事件を「見る」主人公を追うのはやっぱり変で、意味がわからなくなっている。結局ただの凡庸な青春映画に仕上がってしまっている。
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