チッコーネ

ハーレムのチッコーネのレビュー・感想・評価

ハーレム(1968年製作の映画)
2.7
粋な艶笑ものかと思ったら大間違いの問題作で、美術も大しておしゃれではない。
いまこんな作品を撮ったら叩かれるだろうが、全体を振り返れば「男も男なら、女も女」と言ったところ。
男がパスタを投げつける図はドン引きものだったが、四角関係を進んで築いたところで勝手に疲弊し、3人を差し置いてどうやらナンパ男に身を任せたらしい女の行動も、同様に酷い。
ゲイの友人(というより無性キャラクターだが)をいいように振り回す態度については、言わずもがなである。

コーヒー占いで「危険な遊び」示唆する老婆は『ツイン・ピークス』の丸太おばさんみたい、各キャラクターが示すのはアントニオーニも真っ青な「愛の不毛」だが、それにしても後味の悪いラストにはミソジニーの香りが濃厚に漂い「監督は個人的な恨みを込めたのかしら」と勘繰りたくなった。

制作当時40歳近いキャロル・ベイカーが振りまく熟した色香だけでなく、レナート・サルヴァトーリの裸体やウィリアム・バーガーのもっこり海パン姿など、美男のサービスショットもふんだんに挿入。