兎ワンコ

アフガンの兎ワンコのネタバレレビュー・内容・結末

アフガン(2005年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

以前に観た『オーガスト・ウォーズ』のプロデューサー・フョードル・セルゲイヴィッチ・ボンダルチュクの監督作と知り、DVDを購入。


78から89年にかけて行われたアフガニスタン紛争がテーマであり、88年に第九中隊に入隊した若者たちが主役である。

映画全体としての流れは、スタンリー・キューブリックのような『フルメタル・ジャケット』を彷彿させるような流れであり、過酷な訓練や仲間との友情などが描かれており、そこだけでも見どころある映画だ。

登場する人物たちも個性豊かであり、かのリドリー・スコットの大作『ブラックホーク・ダウン』のように、全員が丸坊主でも見分けがよくわかる。

また、アフガニスタンに到着したあとでも皮肉の効いた演出(幸運のメダルを渡した兵士が帰還する輸送機に乗るなり撃墜されたり)や先輩兵士の理不尽な命令など、飽きのない展開がある。

そしてこの映画の良いところはタリバン勢力を含めたアフガニスタンを悪者と決めつけず、戦場に着いた若者と観客に"戦争とはなんだ?"と投げつけるところである。

それゆえか、ラストの大規模な戦闘シーンはアクションに偏りすぎてしまっていて、もう少し捻りがあっても良かったのではないかと、駄々をこねたくなる部分も見受けた。

ロシア軍全面協力であるからこそ、登場する兵器や銃器にはリアリティがあるけど、恐らく……というより、確実ではあるけど、"不都合な事実"は脚本や映像から消されているに違いない。

それを除いても、ロシアの戦争映画としては中々楽しめるものである。
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