もとまち

みな殺しの霊歌のもとまちのレビュー・感想・評価

みな殺しの霊歌(1968年製作の映画)
4.2
狂ってる! 少年をレイプして自殺に追いやった変態マダム五人組に、至極身勝手な理由で残忍な復讐を遂行する殺人鬼。全員異常の倒錯した世界。警察も「女が男を輪姦する」なんてケースは笑い飛ばしてしまう。どうしようもない。警官とマンションの管理人の呑気な掛け合いや、賑やかな食堂で淡々と流れる事件のニュース、貼り付けられた指名手配犯のポスターなど、平穏な日常風景と陰惨な暴力描写の頻繁な切り替えが、不穏なコントラストを生む。普通の人々が生きる世界も、少しベールを剥いでみれば歪な空間が広がっている。キマリまくりのローアングル、強烈なアップ、そして闇堕ち佐藤允のニヒルな怪演が、画面上のヒリついた緊張を寸分たりとも途切れさせない。マダムたちの死体写真もやたらリアルで怖すぎ。マジで総毛立った。
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