いの

緋文字のいののレビュー・感想・評価

緋文字(1972年製作の映画)
3.7
「緋文字」と書いて、「ひもんじ」と読む。初知り。1850年に出版された小説のタイトルとのこと。どうやら、その小説を映画化した作品のようです。


時期:17世紀
場所:アメリカ東海岸
人々:イギリスからの入植者(ピューリタン)


緋文字「A」をデカデカと左胸に刺繍された服を着ることを強要された女性。「A」は姦婦であることを示す意。大衆の面前で、「お相手は誰なのか」を告白することを強要されるのはもう毎年の恒例行事なのかも(でも彼女はゼッタイに告らない)。ひとりの女性を侮蔑することで住民たちは結束できるのだろう。その閉鎖的社会のリーダーを担うのは聖職者たち。娘ちゃんも魔女だのなんなのとからかわれる。その女性の夫や、女性のお相手も出てきて、疑念やら思惑やら苦悩やらが描かれるけど、そういった感情に振り回されているのは男性陣で、主役の女性やその娘はそういった負の感情に縛られずに生きている様子が印象に残る。女性たちは何が大事かきっとわかってるのだと思う。胸に「A」つけててもそれが何か?ってところが、もう他者を圧倒しています。小舟が島に発着する映像は、好きな映画のいくつかを思い起こさせてくれてありがとうって言いたい。


ヴィンダース2作目の長編作品だとか。言われるほど悪くはない映画だと思う。観やすくてすらすらいけました。ただ惜しいのは劇判、チープで安易。劇判がもうちょっとなんとかなっていたら、作品の質はもっと上がったはず(わたしの勝手な感想です)。でもこの反省を生かしたことが、のちの『パリ、テキサス』でのライ・クーダーにつながったのだとしたら、それは凄いことじゃありません? そういったことを勝手に想像してひとりで盛り上ってうれしくなるのは得意です(自慢)


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娘役のイェラ・ロットレンダーは、この翌年に制作された『都会のアリス』でのアリス役の少女。『都会のアリス』観たのは1年前だったけど、すぐに彼女だとわかりました。とても魅力的。
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