普通のドラマとして見るとソープオペラ以下のぐだぐだ、どろどろ痴情物語でとても鑑賞に堪えるものではないのだが、実際にあった事件を元にしているとなると評価はガラリと変わる。
主要な3人が人間の愚かさを凝縮したような人たちで、それも三種三様ですべての愚行を取り揃えているかのようだ。
見ていると居心地が悪いと言うか、ストレスが溜まるのだが、これは自分の中にある愚かさを目の前に突きつけられるからだろう。
そしてそれに対する救済も解決も何もないことに一層イライラする。
調べてみると子供の人数とか事件当日の行動とか、細かい所で史実と異なるが、大筋においては正しいようだ。
男の母親への手紙で〆ているが、個人的には刑の執行まで描いてほしかった。
この女性の破綻した性格だけでなく、刑務官の証言に残されているように、執行直前まで取り乱すこともなくその後の肝の据わった最期までを見せて、始めてこの女性を描ききったことになるのではないだろうか。
ちなみに、結婚していた夫はアルコール中毒におちいり1958年に首吊り自殺。息子のアンディは1982年に37歳で自殺したそうだ。
映画芸術としては評価されるだろうが、2度観ようとは思わない作品。