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悪い女の655321のレビュー・感想・評価

悪い女(1998年製作の映画)
3.3
まだキム・ギドク監督の映画は2本しか観ていないが、いわゆる“聖母”像に愛憎入り混じる複雑な想いがある事がよく分かる。

聖性を帯びた娼婦ジナ。
群がる男たち。
ジナや性的なものを毛嫌いする女性ヘミ。
そして「誰しもが裸で生きている。お前だけじゃない」という台詞。

これらが全てだと思う。
この映画の中ではジナに向けた言葉だけど、きっと監督自身にも、そして観客にも向けた言葉だろう。

性を渇望しながらも嫌悪する。
だから性を越えた“聖母”を求めるが、愛と性は結局結びついて…。
そんなことをウジウジ考えちゃう人なんだろうなあ、キム・ギドク監督は。
ウジウジを色々な人物に分散させて、自分の想いを消化していく。
うん、浄化や昇華より“消化”の方が自分の中ではしっくりくる。
ちょっと分かるんだよなあ、この気持ちが。
別に母とは何のわだかまりもないし、妻もいるけど。
男は皆マザコンってこういうことなのかもしれない。

PTA監督の作品もそうだけど、こういう自らの抱えるものを消化するために撮りました!っていう映画にはなんでか惹きつけられる。
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