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ハリウッド・ブルバードの一人旅のレビュー・感想・評価

ハリウッド・ブルバード(1976年製作の映画)
4.0
ジョー・ダンテ、アラン・アーカッシュ監督作。

女優を目指してハリウッドにやってきた娘・キャンディが、厳しい映画業界で生き残りを賭けて奮闘する姿を描いたコメディ。

『ピラニア』『グレムリン』『エクスプロラーズ』『インナースペース』『メイフィールドの怪人たち』『マチネー/土曜の午後はキッスで始まる』といった数々の傑作エンタメ映画を世に送り出してきたジョー・ダンテの記念すべき初監督作品で、コテコテのB級ワールドを堪能できる超娯楽作(製作はロジャー・コーマンのニューワールド・ピクチャーズ!)。

女優になるという夢だけを持ってハリウッドにやってきたキャンディ。そこで彼女を待ち受けるのは、華やかなイメージのハリウッドとはかけ離れた“超汚れ仕事”の数々だった...!というのが物語のベース。
零細人材派遣会社に雇われ、ミラクル・ピクチャーズという胡散臭いB級専門映画会社の撮影現場に駆り出されるキャンディ。汗臭い男たちにおっぱい丸出しで強姦されたり、女優なのになぜか危険なカースタントをやらされたりと、監督の命令一つで嫌な仕事を一生懸命こなしていく。
フィリピンを舞台にしたB級戦争アクション大作では、4人の女が数百人のアジア兵を虐殺するというとんでもないシーンが撮影される。ラフな服装の女たちが機関銃をぶっ放したり手榴弾を投げ込んだり、人が火だるまになったりと圧巻の映像で畳みかける。

また、遊び心もふんだんに取り入れられていて、原爆の副産物としてゴジナというゴジラを明らかにパクった怪獣(版権大丈夫?)がちゃっかり登場。人間サイズ&着ぐるみで迫力はゼロだが、キャンディとちょこちょこ絡んだりするのでなかなかの存在感を発揮。ゴジナの他にも昆虫人間やゴリラ人間みたいな奇怪なキャラクターが登場し、もはや収拾がつかないレベルに画面が混雑する。

そして、キャンディと脚本家の恋模様や終盤描かれる新人女優を狙った殺人事件など、取って付けたかのような急展開に苦笑いするが、そこはB級映画なので全然許せる。一本筋の通った物語をしっかり見せるというよりは、見せたいものを手当たり次第に見せていくというのがB級映画のスタンダードでありお約束だ。

笑いあり、アクションあり、スリラーあり、サスペンスあり、ロマンスあり、涙は...なし。B級映画を特徴づけるエッセンスを網羅していて、“映画を観てる!”という体感が欲しい人にうってつけの作品です。
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