素潜り旬

シルバー・グローブ/銀の惑星の素潜り旬のレビュー・感想・評価

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紛失したフィルムの副産物といえる監督の語り、そして彼はガラス越しに登場する。キラー・オブ・フラワームーンにおけるスコセッシよりも格好良いがそこには言い訳のような後ろめたさがあり、なんとも言えない気まずさが漂っている。

監督の頭のなかでだけ出来上がっているからこそ、この映画は観客の想像を超える途轍もないSFであり、訳がわからない状態から突然、語りによって辻褄が合うその瞬間にタイムトラベル以上の稲妻がはしり、俺は呆然とした。

手に描かれた眸に吸い込まれないよう、詩的な台詞で常に緊張の糸を保ち、此処以外のどこにも行かせない、ずっと画面から離れるな、と言わんばかりの、ただカメラは語りとともに現代へ、そしてそこから遠く離れた場所と、行ったり来たり、この旅行からは逃れられず、ずっと観光客でいるような、だからこそ俺たちが求めるのは監督の脳内にあるはずの完成された映画、そこへ安住を求め、たどり着くことのないさらなる旅へと向かうのだった。
素潜り旬

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