Ryoma

SOMEWHEREのRyomaのレビュー・感想・評価

SOMEWHERE(2010年製作の映画)
4.2
起伏はないため演技というよりあるがままの日常を切り取ったよう。その着飾らない様子やゆったりと流れる穏やかな時間が心地よくもあり、日常に近しい感覚で違和感なく見ることができた。傍から見れば順風満帆、万事良好、人生において成功した世間で言う勝ち組に分別されるような日々でも、それは世間が勝手に決めているだけで、ひょっとしたら本当の意味での幸せではないのかもしれないこともあって…。結局は、自分の人生であるし、責任も伴うけれども、自ら選んで掴んだ成功はかけがえないものであるし、自分の人生のすべての選択や行動を自分で選んで生きていくことの大切さを学んだ。大切な人と過ごしてはじめて気付く空虚で無意味な人生だと感じる父親の気持ちが自分は父親ではないけれどもわかる気がして苦しくもあった。それにしても、エルファニング、あどけなさが残る初々しさがありとてもキュートだ。普段は一緒に過ごせない父と娘が仲睦まじそうに笑い合う姿が微笑ましく思わず笑みが溢れてしまう。グッドミュージックと満点の青空をバックに映し出されるプールサイドで寛ぐツーショットのロングカットはいつまでも見てられるほどに心地よい。
ソフィアコッポラ監督作はもっとドロドロというか愛憎感満載の重く苦しい作品ばかりだと思っていたけれど、本作は結構好みなテンポ感、空気感な作品だった。夏にまた観たいし、他作品も徐々に観ていきたい。終わり方は最近観た作品の中でも上位に入るくらい好きだった。
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