情けないダメダメ男って、結局絵になっちゃうよね。それはとても悲しいことでもあり、でもカッコよくみえてしまうのもまた事実。人の感情は複雑である。
『ヴァージン・スーサイズ』でもそうだったが、人はしばし他人に対して、無責任な美しさを期待してしまう。儚げな姉妹に美を見出してしまうように、ダメ親父と娘の交流に素晴らしさを感じてしまうように。
少し距離のあるところから眺めている観客は、勝手に型をはめられて評価される登場人物に同情する。当事者にとってみれば大変なのにね、と。
しかし、では当事者が物語のように扱われるのを嫌がっているのかというと、それはそれで違うように感じてしまう。彼ら、彼女らはすすんで美しい物語のほうに歩いていきたがっているようにも感じてしまう。
だからこそ正解はないのだろうし、人が幸せになるのはとても難しいのだろう。