ゆみゆみ

フランソワの青春のゆみゆみのレビュー・感想・評価

フランソワの青春(1969年製作の映画)
3.6
11歳の心に傷を負った少年の切ないひと夏の恋。これだけで既に美しい。

【あらすじ】
フランスの田舎町に伯父夫婦に引き取られ暮らす11歳のフランソワ(ジャン=フランソワ・モーラン)は、学校に行かず家庭教師に勉強を教わっている。家には伯父夫婦と小間使いの老人のみで、孤独な毎日を秘密基地のツリーハウスで過ごしていた。そんなある日、伯父の親友の娘ウェンディ(ジャクリーン・ビセット)がイギリスから泊まりにやってくる。(日本未公開、未ソフト化作品)

まずはフランソワがすごく可愛い、顔が。ところが心に闇がある。手のひらに描かれた怪獣の顔が秀逸で、オープニング一番にこれが出てくるのだけど、いきなりそのギャップに驚き、この子、なんかあるね!と思わせるのは、すごくスマートで好きなオープニングだった。しかもボロボロのセーターを着てる。結局、ずっとこのセーター姿だった。

さてウェンディ。それはそれは美しい。ところが(こっちも!)ある秘密を抱えている。ちょっと引くわ…



**ネタバレします**









ウェンディ。
あの美貌だから仕方ないけど、父親に息子、甥までがウェンディの虜になるというめちゃくちゃな世界。
結局、ウェンディは性悪な気がする。父親と愛人関係にあり、その息子に言い寄られ、気の無い素ぶりをしながらも二人で出掛けたり、挙句にフランソワに出来もしない約束をしておいて、まるでなかったかのように一人で帰ってしまう。
切ない通り越して、腹立たしい。

フランソワは傷ついた心にナイフを突き立ってられたようなもの。
それでもフランソワのラストシーンは切ない。

ツリーハウスのシーンから始まって、ツリーハウスでラスト。一度自分の世界から抜けトラウマさえも乗り越えさせる愛の力だったけれど、結局はまた自分の世界に戻って行ってしまった。
米題はsecret world
邦題より、こっちの方がしっくりくる。

この子はこの作品にしか出てない様子。残念だなぁ。
ゆみゆみ

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