早紀

フランソワの青春の早紀のレビュー・感想・評価

フランソワの青春(1969年製作の映画)
5.0
いきなり映し出されるグロテスクな絵が描かれた手のひら、そして現れるうさぎを抱いた悲しげな美しい少年。この時点で既に物語に引き込まれました。

*幼い頃に両親を事故で亡くし、フランスの田舎町の親戚の家に預けられた11歳のフランソワはいつも無表情。周りの大人達を信用せず、家庭教師の前でもわざと勉強せず、冷めた目で彼らを見つめている。そんな姿が気に入らないのか叔母は彼を厄介者扱いして忌み嫌っていた。ある時叔父の親友の娘だというウェンディがイギリスから家に泊りがけで遊びにやって来て彼は一目で恋に落ちる…

ウェンディ役のジャクリーンビセットがとにかく綺麗!こんなに綺麗な女性が家にいたらそりゃ男の子は好きになる。しかも彼女はシャツ一枚で家の中をうろついていたり、裸同然で日光浴するものだから私もドキドキしました。
フランソワは夜、ウェンディの部屋に侵入し、香水を盗み、寝ている彼女の髪を切る。ウェンディはそんな彼の行動を知っても強く咎めず、優しく、けど子供扱いせずに接します。ウェンディは周りの大人達とは違う。普段決して周囲に笑顔を見せず滅多に喋らないフランソワだけど、ウェンディと話をして、一緒に遊んで、そばにいる時だけは笑顔で。孤独だった彼の人生が輝き出したのを感じました。

けど最後は…切ないです。でもウェンディの言った言葉は本心で、彼女もフランソワを忘れないと思う。彼の最後の行動は全身で彼女を感じる為。原題は「secret world」。彼女と出会ったことで自分の中の新しい感情、世界を知った彼はこれから大人になっていくのだろうと思います。

☆82
早紀

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