サム・ペキンパーが監督し、ダスティン・ホフマンとスーザン・ジョージが主演した『わらの犬』(1971)のリメイク版で、監督はロッド・ルーニーという人。
妻をレイプされても無関心を装う平和主義者の夫が、与太者たちの横暴に我慢の限界に達し、暴力で立ち向かってやたらと殺す羽目になるという大まかなストーリーは、オリジナルと同じ。
オリジナル版ではイギリスの田舎町が舞台だったのに対して、こちらは保守的なアメリカ南部に変えてあったり、細かい設定は少し変えてある。
やっぱりオリジナルと比べてしまいますね。
どうしてもこちらは見劣りする。
オリジナルでは、ダスティン・ホフマンが気の弱い平和主義者の役が完璧にはまっていたのに対し、こちらの主人公はちょっとマッチョでイメージが違う。後半での主人公の豹変ぶりが弱くなってしまった。
妻の役も、オリジナルのスーザン・ジョージのほうが断然いい。
演出のパンチ力といった点でも歴然と差が出ており、改めてペキンパー監督が恋しくなった。サスペンスの盛り上げ方が決定的に違うのだ。
例えばそれは、与太者たちと狩りに行って主人公だけが置いてきぼりを食って、その間に妻がひどい目に合うシーンなど。
オリジナルを観た方なら忘れることができないシーンだと思いますがあのカットバックは見事でした。
が・・・こちらは・・・
特殊技術の進歩で、グロ描写はこちらのほうがよくできているけれども、作品としての出来はまるで違う。
演出力の差が、面白さの差であることを痛感いたしました。
繰り返しになりますが、
オリジナル版が恋しくなったデス。