こたつむり

シリコンバレーを抜け駆けろ!のこたつむりのレビュー・感想・評価

2.1
“駆け抜けろ”ではなく“抜け駆けろ”。
その邦題のセンスのようにズレている作品。

ロザリオ・ドーソン姐さん目当てでしたが…。
正直なところ、とても肩が下がる作品でした。
脚本が破綻しているので、コメディなのに笑えないのです。

物語の発端は。
広告代理店に勤める主人公が「俺もモノ作りがしたい!」と転職する…という流れなのですが、この主人公…転職しても手を動かさないのですよ。会社から「99ドルのパソコンを作れ」という無理難題を突き付けられても…すべて人任せなのです。

せめて、アイディアくらい出せよ…。
なんて思いますが、発案も実行も全て仲間の仕事。じゃあ、彼が何をするのかと言うと…ロザリオ・ドーソン姐さん演じる《芸術家》とイチャイチャするだけなのです。「君は何を思って転職したのか」と小一時間くらい問い詰めた方が良いですよ、姐さん。

また、仲間たちの発想も。
コストを下げるためにプリンタを省く…のは当然だとして(というか標準仕様にプリンタが入っているの?)なんとモニタを省く…という斜め上を行く展開。その代わりに搭載されるのがホログロム。えー。それを作るコスト…というか特許許諾料だけで99ドルなんて吹き飛ぶと思うのですが…。

その他にも。
マウスの代わりに手袋の形をしたグローブで操作するとか…斬新すぎて付いていけません。しかも、最終的にはグローブすら不要。触感センサーを追加してホログラムに直接触れる…という2017年現在、未だに普及していない技術を披露してくれるのです。

あ!今、ピンときましたよ!
主人公の仲間の中に、標準体重を遥かに超えた男性が混じっているのですが、その正体は猫型ロボットなのですよ!そしてクライマックスで肉襦袢がベリベリッと割れて「ぼく、ドラえ…」って…スミマセン。そんな展開にはなりません。そこまで“駆け抜けて”くれたら面白かったのですが…。

まあ、そんなわけで。
2002年の作品だと考えれば、仕方がない部分もあるとは思いますが…コメディだとしても重要な部分は現実に即しているべき…と教えてくれる作品でした。小説が原作だということですが、脚本家さんが上手く噛み砕けなかったのでしょうか…。

ちなみに、脚本を手掛けたのは。
『アイアンマン』のジョン・ファヴロー監督。
本作は彼の黒歴史だったのかもしれませんね。
掘り返してしまってゴメンナサイ。
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