冷蔵庫とプリンター

THE FALLSの冷蔵庫とプリンターのレビュー・感想・評価

THE FALLS(1980年製作の映画)
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極論「ないものをあるように見せる」のがフィクションの本質であり醍醐味であるとすれば、到底信じがたい謎の症例を、官僚的な規則正しさで事実を羅列するという独特のアプローチで「もっともらしさ」を付与するシュールなユーモアが、フィクションとして成功を収めているように思う。

あとはディテールが面白いと感じるかどうかなのだが、このあたりは正直わからないところが多い。おそらくこの直観的なわからなさ(つまらなさ)はコンテクストを掴めてないところにある気がする。それは鳥類学に対する知識や関心という意味ではなく、例えば7番目のレイサー・ファラセットの挿話、以下。

「レイサーは犬の飛行が可能かを実験し、1回目は犬が麦畑の上に着陸し成功したが、倍の高さからの2回目の実験では、犬は子供の遊び場に墜落し、実験は失敗に終わった。
レイサーは起訴されることになったが、実際には、リードを付けずに犬を運動させたことで罰金を課せられただけだった。」

こういういかにもイギリス的な「ありそうでない話」が面白いと思えるかどうかなのかなとも思った。

どことなくボルヘスっぽいんだけど、映像に関して言うと、構図が劇映画っぽかったりするシーンとかが結構多くてそこは監督のエゴなんじゃないかと思ったり。そもそも3時間は長すぎるのでは?という疑念も自分の中で払拭できずにいる。あとはシンプルに全然集中できなかったので、キツいけどこれは要再見。(別に集中を要する類の映画ではないとは思うけど)