みおこし

ベルズ・アー・リンギングのみおこしのレビュー・感想・評価

ベルズ・アー・リンギング(1960年製作の映画)
3.5
電話の伝言預かりサービス業をしているエラは、顔の見えない相手を幸せにするのが密かな楽しみ。ある日、いつも電話の声で胸をときめかせていた劇作家のジェフリーに直接対面してしまった彼女は、自分の素性を隠して彼に近づくが...。

ヴィンセント・ミネリ監督のミュージカルを鑑賞!日本未公開だそう。
あらすじだけ書くと、ちょっぴりお節介焼きだけど人の幸せをいつも願っている女の子が登場する作品という点が『アメリ』や『エマ』に通じる部分があるなと。
エラの職業から分かるように、1950年代が舞台なので、レトロポップな魅力が詰まった、極めて当時のハリウッドらしいヘルシーな作品になっています(笑)。エラが電話の声だけで片思いしているところから始まる点は、当時のラブストーリーにしては珍しい気も。だいたいこの時期のミュージカルは第一印象最悪同士か、両方とも同時に一気に一目惚れのどちらかなので...(笑)。
楽曲も明るいものばかりですが、パーティーのシーンでの、数多くのハリウッドスターの名前が矢継ぎ早に出てくる'Drop That Name'が派手で個人的に好きでした。

ディノことディーン・マーティンは甘い声の持ち主ですが、本作では魅力炸裂。他の作品ではあまりカッコよいと思ったことが実は無かったんですが(笑)心優しいスランプ気味の劇作家役、かなりハマっていてエラが恋に落ちるのも納得でした。彼が歌うナンバー、'Just in Time'は映画のサントラとしてでなく、普段から癒されたい時に聴きたい名曲。
他の方もレビューに、書いていらっしゃいましたが、撮影当時ディノが43歳、ジュディが38歳ということで、あえてキャピキャピし過ぎず、大人同士の甘い恋を演じているのがまた本作の良いところなのかなと。

一方のジュディ・ホリデイは年齢を感じさせない、とにかく弾ける魅力の可愛らしい女性。不器用なところやちょっと世話焼きなところまでとにかくいじらしくて、彼女だからこそ本作は成り立っていると言っても過言ではありません。本作の5年後、乳がんによりわずか43歳で夭折してしまったのが残念でなりません...。したがって、本作は事実上の彼女の遺作となっています。
独特の魅力ある女優さんだったので、もっともっと作品が観てみたかったです。オスカーを獲得した『ボーン・イエスタディ』は未見なので、早急に鑑賞します!

ちょっぴり長く感じましたが、とっても洗練された素敵なミュージカルでした。さすがミネリ監督!ハズレがありません!
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