TenKasS

ラブレスのTenKasSのレビュー・感想・評価

ラブレス(1981年製作の映画)
5.0
全員会話の仕方がおかしい。ずっと狂っている。「デイトナにレースに行くんだ」と言った次の瞬間に移動が止まる。そして映画の時間中ずっと止まっている。デイトナにも結局行けない。向かうそぶりもない。頭の中に同じくどこにも行けない女の子の悲痛な声が突然響くがどこにも連れていけない。ていうかそんなヒロイックな気持ちも微塵もない。その子が死んでも憂う気持ちもない。
そして次どこに行くともしれないまま映画が終わる。観客どころか彼らも多分どこに着くのか知らない。そもそも移動にも快楽が全然ない。なんかちょっと空族みたいだなと思った。ちょくちょく凄いクロスカッティング的なのがある。なんでか知らないけどこの町で偶々交わっちゃった人たちを無理やり繋いでいる感じ。

「あんたバイクがなけりゃ単なる浮浪者よね?」
「そうだ。本物のクズだ。」
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