鰹よろし

オデッセイ2001の鰹よろしのレビュー・感想・評価

オデッセイ2001(2001年製作の映画)
2.0
 イチ個人の生死から人類という種の存続への想起を促し、一方で地球40億年の生命史、数多の種の繁栄と絶滅から人類という種を見つめる。

 不連続な進化の系統図、種の絶滅と種の誕生(死と生)を結びつけるトーラスという地球の管理者の下、生命の進化において死とは絶滅とは一過性のモノであり、人類もまた例外ではなくそのサイクルの一部に過ぎない。

 にも関わらず、頂点捕食者を自尊し我が物顔で地上を跋扈する人類は、他の種を省みないどころか、同種間での争いが絶えず、究極自身で自身を、また地球をも滅ぼしかねない。

 トーラスの眼前で、またトーラスを相手取り繰り広げられる、飽くまでも人類を起点とした人種、宗教、国を違える者同士の諍いに争いを受け、今までもそしてこれからも繰り返されるだろう人類の愚行の数々をトーラスはどの様に捉えるのだろうかという上位種の視点を交え、人類の見直しを図ろうとするのがこの作品の主旨か。

 今や他の種にとって害悪となっている、種の頂点でも進化の果てでもない驕り高ぶりの過ぎる人類の絶滅こそが地球にとっての希望であるのだとお灸を据えつつ、

 いや進化の一端を担っている、地球の一員である自覚の芽生えをと、人類の死(進化のリセット)を以てトーラスのご機嫌を以て次の時代(生)へと移行するのではなく、

 再生と贖罪の余地を、イチ個人の「生」が他の誰かの「生」に繋がる様に、男と女に始まる「愛」に、親と子へと繋がる「愛」に見出す様は、実に浪漫溢れるモノだった。


「2001年宇宙の旅」(1968)...「スフィア」(1998)...「グリーンマイル」(1999)...「ミッション・トゥ・マーズ」(2000)...「ドリームキャッチャー」(2003)...「地球が静止する日」(2008)...「インタープラネット」(2016)...「メッセージ」(2016)...「ファースト・コンタクト」(2017)...「クリムゾン・プラネット」(2018)...「強殖装甲ガイバー」...
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