アニマル泉

三人の名付親のアニマル泉のレビュー・感想・評価

三人の名付親(1948年製作の映画)
4.5
冒頭に「ハリー・ケリーに捧ぐ」とクレジットされる。フォードがハリー・ケリー主演で撮った「恵の光」のリメイクである。息子のハリー・ケリー・ジュニアのデビュー作だ。
オープニングタイトルは本編内のアバンタイトルだが、全てのカットが見事な構図、光、土埃だ。列車、馬が煙や土埃をあげて荒野を直線に切り裂いて行く。
本作は何度もリメイクされている。極悪な状況下で男たちが出産に立ち会うという設定が素晴らしい。フォードの「駅馬車」やフラーの「最前線物語」でも描かれている。本作はクリスマスの日の物語で、新約聖書のイエス誕生の「東方の三博士」がモチーフになっている。
「砂漠」の映画である。逃亡中のボブ(ジョン・ウェイン)ピート(ペドロ・アルメンダリス)キッド(ハリー・ケリー・ジュニア)が歩きながら国境を目指す。水が欲しい。風が起こす砂嵐が厳しい。最初は馬もあったのだが、馬を捨て、身の回り品を捨て、ひたすら灼熱の砂漠を歩く。やがて傷ついた友まで捨て、飲み干した水筒を捨て、ボブは赤ん坊を抱えて朦朧と彷徨う。つまり本作は「次々と投げ捨てる」作品なのだ。
スイート保安官(ワード・ボンド)とボブたちの出会いが可笑しい。
銀行襲撃で馬を立ち上がらせて、回転しながら発砲したのには驚いた。見たことがない馬使いの至芸だ。MGM カラー・スタンダード作品。
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