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少林皇帝拳のJAmmyWAngのレビュー・感想・評価

少林皇帝拳(1979年製作の映画)
4.0
生活における実利的な有用性の埒外に浮かんだ余剰として、利き酒や骨董品鑑賞などの嗜好的な行為が文化的に行われているワケなんだけど、その余剰が行為される空間には往々にして「マナー」や「立ち振る舞い」などといった精神から肉体に作用する制限がある。

一方で、腕が無いだとか足が無いだとか、それらはあるけど私はか弱い女ですだとか、ある一定以上の強度や方向性を持つ運動を行為するに当たっての、純肉体的な制限というものもそれはそれで確固として存在しているワケです。

この映画は、そのような余剰/欠落の両極に伴う「制限」に対してカンフーを滑り込ませ、その肉体的な限定性を生かした挙動の集合体として殺陣をオーガナイズしてしまうというスゴいヤツ。ラストにおける2対3の殺陣に至っては、カンフー的オーガナイゼーションの究極系として「動いて気持ちいい」し「止まって気持ちいい」、最早一瞬一瞬が気持ちいいという映像の連続性に容赦なく全身を絡め取られてはまた責め上げられて悔しいっ……でも感じちゃう!ビクンビクン!

群を抜いた劇終の唐突さにも絶対性が溢れていて素晴らしいし、リュー・チャーフィーもロー・リエもワン・ユーもとにかく最高だし、本当は悔しさなんて微塵も感じておらずにただただビクンビクンしていたこの汚らわしい私を存分に嘲笑し石を投げつけてゴミ屑のように蔑むがよい。さあ………は、早く!(ビクンビクンッ!)
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