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キャット・ピープルの呪いのくりふのレビュー・感想・評価

キャット・ピープルの呪い(1944年製作の映画)
4.0
【じつはロバート・ワイズのデビュー作】

『キャット・ピープル』(1942)の続編だが、こちらの方が完成度高いかも。

脅かし要素はぐっと抑えられ、幻想と現実間でゆらぐ少女の、ファンタジック・ホラーとも言える趣き。

前作で“豹女”を弾き出す形で愛を育んだ二人が結婚し、女の子をもうけるが、夢見がちに育ちトラブルを起こす。父親はそれが“豹女”の呪いでは?と心配するが…そこに“幽霊屋敷の女”が絡んでくる…。

終わってみれば、前作よりさらに、オカルト要素薄し、と受け取れる仕上がり。より知的好奇心をくすぐる映画です。製作のリュートンはタイトルを変えようとしたが、スタジオは大ヒットした前作『キャット・ピープル』を外すことは許さなかったそうだ。

要は、ある偶然から生まれる、美しき“イマジナリーフレンド”のお話。その幻想世界がリーズナブルなのに豊か。特撮を使わず、照明調整だけでふわりと世界を変えてみせる、見事なショットもあります。

主演少女の存在感が素晴らしい。前作で散々な目に遭った豹女役、シモーヌ・シモンは“良い魔女”のようにうっとりさせる役どころ。

“幽霊屋敷の女”の方は、前作の猫顔姐さんも登場。噛ませ犬でありつつリアリズム担当で、この辺の仕分けも巧い。この家の方がよりホラーで、噛み込めばより、コワ味が染みるよう作られています。

はじめ担当したガンサー・V・フリッチ監督は仕事が遅く、リュートンと対立してクビとなり、当時編集マンだったロバート・ワイズが代打を務め超速で仕上げたそうだ。

…その後の活躍はご存知の通り。やっぱり、映画は技術じゃないなあ、と思い出させてくれる一作です。

<2019.7.28記>
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