谷口

橋蔵のやくざ判官の谷口のレビュー・感想・評価

橋蔵のやくざ判官(1962年製作の映画)
3.5
とても面白い。ムーディな霧の立ち込める長屋という間の抜けた舞台装置が効いている。人が死んでいるにも関わらず終始お気楽な取り調べで飛び交う合いの手のタイミングが絶妙。何より毎度のことながら丘さとみの指先に至るまで神経が張り巡らされた身振りの素晴らしさよ。引き戸に指を挟まれるところと、柳の下でクルクル回っているところで捕手に囲まれるところなどが特に良い。北沢典子の儚げな所作にも惹かれる。畳を指でなぞる動作など、マキノ極まるといった感じ。ラストの橋蔵による種明かしには若干唐突感があり、ミステリサスペンスとしては及第点だけれども、基本的にずっと楽しいので傑作です
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