猫脳髄

キルボットの猫脳髄のレビュー・感想・評価

キルボット(1986年製作の映画)
3.6
ロジャー・コーマンがNWPを売却して立ち上げたコンコード・ピクチャーズ(現ニュー・コンコード)で、コーマンの弟子っこであり、多彩なエクスプロイテーション作品知られるようになるジム・ウィノースキーが監督をつとめたロボット・スラッシャー。なかなか気の利いた邦題と思いきや、試写当時の原題が"Killbots"だったようだ。

ショッピング・モールに試験導入された3体の警備ロボットが不具合で暴走し、テナントでパーティーを開いていた店員たちを襲撃する。真夜中のモールを戦場に、彼らとロボットの死闘が幕を開ける…という何ともストレートな筋書き。直接的には50年代のロボット反乱モノ映画を参照したらしいが、ロボット反乱モノの代表格「ターミネーター」が84年に公開されている。

コーマンやその門下の作品で感心するのは、90分以下(本作は76分)でムダな(と判断している)描写を削ぎ落としつつ、ロボットの造形やスラッシャー描写など、観客にハマる描写は手を抜くことなく作り込み、娯楽性に徹しているところである。例えば、ショッピング・モールの警備ロボットがなぜか殺人レーザービームを発射できるかはどうでもよく、それでギャル店員の頭を吹っ飛ばし、丸焼きにする方が(観客にとっても)重要なのだ。

もともと、「ナイト・オブ・ザ・コメット」(1984)でファンになったケリー・マロニーが主演なので鑑賞したが、やっぱり彼女の愛嬌たっぷりの表情とNGなしの体当たり演技は魅力的である。劇中、見事な射撃スタイルを見せるが「ナイト・オブ~」の訓練の賜物だそうだ。コーマン作品常連のディック・ミラーやジャンル女優のメアリー・ウォロノフなどもチョイ役で出演する。このほか、モールの銃砲店名が"ペキンパー"だったり、銃の扱い方は「ダーティーハリーを24回みた!」と答えるなど小ネタも面白い。
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