阪本嘉一好子

Kerouac -ケルアックに何が起こったのか?-の阪本嘉一好子のレビュー・感想・評価

5.0
作家ジャック・ケルアックのドキュメンタリー。どの作家も大学で初めて会った女性もガールフレンドたちも、みなさん揃ってジャックはゴージャスだとかハンサムだとか口を揃えて言っている。確かに、50年代のハンサムだとは思うが、ジャックが『路上』を発表して作品が売れてから、人々がジャックの虜になり、作品ももちろんだが、彼の外見に惹かれて、人が集まってきたようだ。内向的なジャックにとって、迷惑な話だったろう。 
彼はマサチューセッツ州のブルーカラーの家族で1922年に生まれ育ち、ケベック育ちの母親に育てられ、6歳で英語を初めて話し始めた。父と兄を亡くし、母一人で育てられ、高校ではフットボールの選手で、スポーツスカラーシップでコロンビア大学に入った。第2次大戦が始まり、大学をやめて加わった。その後、グレゴリー・コーン、アレン・ギンズバーグ、ウィリアム・バロウズにあって作家になっていくいくようだ。過程は「キル・ユア・ダーリン(2013年製作の映画)Kill Your Darlings」にもある。それに、「HOWL 吠える(2010年製作の映画)Howl」でも、サンフランシスコの本屋で出版社で詩人でもある(City Lights Booksellers & Publishers) ローレンスファーリンゲッティLawrence Ferlinghettiはジャックの作品の出版社として出ている。それに、ローレンスの別荘にこもって(アル中だからバーには行ったらしい)、「ビッグ・サー」をかいたらしい。ジャックはギンズバーグの『吠える』の披露の時、ギンズバーグに作品を詠んだらと言われたが断ったと。恥ずかしがり屋でスポットライトから外れたいようだと?が言っていた。

このドキュメンタリーで気に入ったところを数箇所だけ書くつもりだ。 このドキュメンタリーを深く考えるのには文学の理解力がいるようだ。

1)1959年、ステーブン・アレンのトークショーに出て、彼のブルースピアノに合わせて『路上』を詠むシーン。これが一番好きなシーン。路上は私は読んだことがないが、伝統的な「アメリカ」を思い起こせるるが、そのアメリカに挑戦しているようだ。それに、リズム感があり、強弱をはっきりさせて読んでいる。最初に、アレンに『神経質になってる?』と聞かれるがノーと答えるジャック、でも、彼の右手の動きを見れば明らかに神経質になっているとわかる。どのくらいかかって「路上」をかいたのと聞かれて、三週間と。じゃあ、どのくらい旅行してたのと聞かれて7年間。ロングペーパーを使って、鉛筆で書いったと。『ビート」の意味は『思いやりがある。』と答える。
https://www.youtube.com/watch?v=3LLpNKo09Xk

2)フラン・ランデスマンという詩人はジャックは’カトリックだから、自殺をすることができない。だから大酒を飲んで死ぬと言ってたと。

3)ジャックの娘、ジャンの言葉がジャックの性格をよく表している。ジャンが初めてジャックにあったとき、ジャックはすぐに自分の娘だと気付いたと。ジャンは自分の母親が『あなたの手はお父さんのとそっくりよ』と言っていたから手を見せてと頼んだらと、ジャックは顔を背けて手だけを突き出したと。二人の手は全く同じだった。ジャンがメキシコに行って書くと言ったら、『私の名前を使え』と。この意味はジャンはジャックの娘だよという意味だとジャンが。

バックレーTVショーに出て、一年位内、1969年の10月21日にジャックはアルコールの飲み過ぎで内臓出血して49歳で亡くなる。

ジャックの心理状態は理解しにくい。一人の人間って、こういう面もあると思うが、それが、全面的に押し出されているようだ。