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マン・オブ・スティールのchi6cuのレビュー・感想・評価

マン・オブ・スティール(2013年製作の映画)
4.0
スタッフが口を揃えて「久々に最高に面白い作品!」というのでかなり期待して観たけどその期待をはるかに上回る、すんごい面白い作品だった!
クリストファー・ノーランのダイナミックな解釈と随所に見える人の弱さのアンサンブル、ザック・スナイダーの画力の強さ!
ヒーローものというより、SFとしての出来が素晴らしい。

異星人であるクラークの生い立ちと、異質な者への迫害、想像を超える脅威。
アクションのスケールがとてつもなく大きく、劇場にいることをしばしば忘れてしまった。
それでいて、クラークの人間的である部分の描き方が丹念で愛おしい。

クラークには、2人の父がいる。
クリプトン星の科学者であった実の父と、地球で育ててくれた育ての父。
二人の父のクラークへの関わり方、愛の注ぎ方が完全に異なっているけど、彼を大切に思っていることは変わりなく、クラークも父たちを尊敬している。
描かれている地球は、とても優しい人が多い。
SFでありながら、描いているのは非常にリアルな人種問題だった。
クラークがクリプトン星人ではなく、どこかの脅威を持った国の出身で、人々は見た事のない能力を持っていたとしたら、果たして受け入れてもらえるのか??
世界の抱える問題が、SFアメコミヒーロー超大作から垣間見える。
自分の存在が地球に脅威をもたらしていると知った時、クラークはクリプトン星と地球、どちらを信じるかで悩む。
「自分は地球で生まれ育った。クリプトン星に地球を侵略されたくない。でも、地球人も信頼しきれない自分もいる」
きっと、人間関係って、こういう葛藤の連続なんだと思う。
悩むクラークに牧師は「まずは、信じたい者を信じてみてはどうか。信頼関係は、信じることから生まれる」と諭す。
信じたい者を信じる。
守りたいものを守る。
愛したいものを愛する。
そこからのクラークの潔さは、久しぶりにかっこいいと思えるヒーロー像そのものだった。

「マン・オブ・スティール」は「スーパーマン」の誕生までの話。
自身の力に戸惑い、社会に順応しながらも純粋に正義を求め、悩み、助けられ、友を得て、最後は「スーパーマン」になる。
桁違いのアクションに夢中になりながらも、このヒーロー誕生の説得力に、ラスト「最高!!」と叫んでしまった。
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