どらどら

渇きのどらどらのレビュー・感想・評価

渇き(2009年製作の映画)
4.2
“俺にはお前しかいない”

究極の自己献身を試みた神父
自己献身を強要されてきた女

2人の魂の共鳴は
利他から利己へ鮮やかに反転する

翻って、利他と利己の境界とは何なのか?
「生きる」ことの原罪が
奇妙で孤独な愛に集約されている

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神父がヴァンパイアになったら、というトチ狂った設定の元突き進むこの映画は、人間の本質的な醜さを暴き出しながらどこかその滑稽でさえある醜さ自体への愛も感じさせるような映画だった
パクチャヌクはどんなにエロティックに濡れ場を撮っても、激しいバイオレンスで爽快感を演出しても、徹底してその醜さ自体にカメラを向けているように思う
そして一見露悪的に見えさえするそれは、醜さ自体の肯定に作品を通して転換していると感じることが多い
キリスト教的世界観への馴染みで物語の印象はずいぶん変わりそうだが、個人的にはとても面白く見られた
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