滝和也

恋のロンドン狂騒曲の滝和也のレビュー・感想・評価

恋のロンドン狂騒曲(2010年製作の映画)
3.3
人生は只の空騒ぎ
なんと虚しきかな人生

いい大人が恋に
右往左往する様を
厭世観たっぷりな
アイロニーで描いた
ウディ・アレンの悲喜劇

「恋のロンドン狂想曲」

前前作のバルセロナからロンドンへ。(後にパリ〜ローマと続く)ウディ・アレンのラブコメディ。英国≒シェークスピアと言う流れそのままに笑える悲劇と言う展開で皮肉たっぷりに描く作品。

始まりは親父が自分が若いと思い込み、青春を取り戻すとして、長年連れ添った妻を離婚。妻は自殺未遂後、占い師に引っ掛かり、スピリチュアルに傾倒。娘に厄介をかけ始める。娘は働かなくなった一発屋作家の旦那に苦しんで、働き先の画廊オーナーのフェロモンにやられて恋してる。旦那は子づくりしたがる煩い妻から、窓から見える向いの部屋の女子大生に惚れて…。

文字にすると正に地獄絵図の様な家族だが、そこはアレン一流のポップさ(軽さ)で流れる様に話を紡いで行く。ただそこに流れているのは、ウッディ・アレンの持つ人生なんて所詮こんなもんだと言う厭世観そのもの。それでも業を背負いし人は生きてかないと行けないと言う部分までハッキリと描いておらず、今作は結構投げっぱなし…。まぁマッチポイントなんかはもっと良い意味で酷いし、バルセロナも恋の徒労を描いていたがまだ被害が少ないだけましかなと思う訳で…。

要はいつもながらなのだが、(なんとなくデジャヴュを感じるレベル)全員酷い目にあってしまう…。まぁ全て書いてしまう訳には行かないが…一番被害は少ないものの可愛そうなのはナオミ・ワッツ演じる娘さんかなと。一度も実利も無くて…。

まぁ…らしさ爆発の作品だが、何か見たような気がすると思わせられた段階で先が読めすぎて、興味を失ってしまったと言うのが私の事実。初めてアレンを見る方なら良いのかなぁ。イマイチですが。
滝和也

滝和也