20世紀初頭のパリの高級娼館を舞台にした群像劇。娼婦という立場の女たちを、観客の共感を誘うような演出過多に陥ることなく、ひっそりと見守るようなカメラワークが印象的で、それがデカダンスな雰囲気や映像美と重なることで、観客は娼館の建物や空気のような存在として彼女たちを見つめているような気分になる。珍しく邦題に納得。テーマ上性的描写が多く、ウェイトとなるある残酷な事件の描写が中々怖いので万人向けではないが、本国フランスでは「アーティスト」と賞取りを争った作品とのこと。ドガの絵画にも似た美しさを持つ、独り鑑賞にお勧めの映画です。