クリント・イーストウッド主演作。
ヒューマンドラマの佳品です。
渋い。
ベースボール好きにはたまらない。
人間の感性よりも、マネーボール流のデータが重んじられる時代にあって、数値を超えて人を見極めるワザについて示唆を与えてくれます。
それは、人生の指針とも言い換えられましょう。
主人公ガス(クリント・イーストウッド)は、メジャー球団アトランタブレーブスのスカウトマン。
ガスは、自分の五感を駆使して、選手の能力を識別していくというスタイルを持っている。
例えば、ボールがバットに当たる音でその才能を判断できたりする。
しかし、身体を基準にした熟練の判断は、時代遅れとされている。
好選手を発掘し続けてきた実績のある彼も、解雇されかけている。
実際、視力の低下は隠せない。
ガス自身、年齢による衰えを自覚してはいる。
そんな折、弁護士の娘ミッキー(エイミー・アダムス)も成り行きで、父親のスカウトの旅に同行することになった。
ただ、父娘の関係性は微妙。
父の老いを心配する娘と、それを五月蝿がる父との間で摩擦は絶えない。
そんななか、有望選手のドラフト指名を巡って、父娘の意見は一致する。
球団のデータマン達が推す”強打者“には、弱点がある。
カーブに難あり(Trouble with the Curve)。
実は、娘も目利き。
母親が早くに亡くなってしまったため、かつてガスはスカウトの旅に娘も連れて行っていた。
道中、娘はあらためて、父の仕事ぶりを近くで目にし、人生や仕事に対する姿勢について彼女なりに学んでいく。
ミットに球がおさまる音で、才能を見分け、選手を発掘するラストシークエンス。
父から娘へスピリットが継承される…
『人生の特等席』という邦題も、後でジワりますね。