よしまる

人生の特等席のよしまるのレビュー・感想・評価

人生の特等席(2012年製作の映画)
3.8
オンライン上映会のお題。

クリント・イーストウッドの引退作「グラン・トリノ」の次の作品。
なんだ?引退作の次作てww

このあともさらに何作か出演はしているけれど、実は自分で監督していない出演作は現在のところこれが最後。自身の会社マルパソプロの愛弟子プロデューサー、ロレンツを監督に据え、世代交代を図ったようにも見える。結局その後も監督業は続けているので全然譲る気は無さそうだけれど😆

なにしろスタッフにはマルパソのメンバーが名を連ねているのでイーストウッド作品臭が強い。特に名手トムスターンによるカメラは、球場の空気感を見事に切り取っていて、野球映画としての品質も高いと思った。

頑固オヤジが実は情に厚い、娘は蓮っぱに見えても親が知らないだけでめちゃ優秀という典型的な親子人情ものを、野球を題材にして見せたファミリードラマ。
それ以上でもそれ以下でもなく、大きな感動の渦も凝った捻りもない。その安定感が何より素晴らしいし、イーストウッドが復帰する意味があったのではないか。

80歳を超えてあの身のこなし。長年スカウトマン人生だけを歩んできたなんて言ってるけれど、若い時は西部の荒くれ者や、はみ出し刑事を経験してきただろうと思わせてしまうところが楽しくて仕方ない笑

個人的に「グラン・トリノ」は晩年の最高傑作なので、それ以降の余生、余白の部分でこうしたハートウォーミングな作品を高水準で生み出してくれるだけでもう何も言うことはないのだった。