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華麗なるギャツビーのかずシネマのレビュー・感想・評価

華麗なるギャツビー(2013年製作の映画)
3.6
虚しく、ほろ苦いな。
ある歌手は歌いました。
「人は強いものよ そして儚いもの」だと。
その曲を初めて聴いた時は子供だった事もあり、妙なモヤモヤした感情が出て、歌詞の意味をきちんと理解できなかった。
でもそれは年月とともに段々と分かる様になってくる。
この作品もそれと同種の感想を抱く。
お金を持ってるタイプのパリピの話ではあるんやが、描かれている内容は普遍的。強いふりをした人の弱さと強さ。
変わってしまう弱さもあれば、変える強さもある。
変えられない弱さもあれば、変えない強さもある。

ギャツビー不器用過ぎる。
気持ちは分かるけど「でなければ」論は、やり過ぎると結局自分が苦しいんよな。
そして彼は「過去を取り戻す」じゃなくて、これからの事を考えたら万事上手くいったんじゃないのか…。
「過去を取り戻すかの様に今を頑張る」なら良かったのと思う。
それか「今自分は幸せだ」「君がいたらこれから先はもっと幸せだ」と言えたら良かったんだよな、きっと。
彼を見ていると「彼女が好き過ぎて」というよりも、「全部完璧にしたいのに手に入らなかったものが欲しい、だから執着している」…という風にも受け取れた。
多分両方の感情が同居した結果の作中の色々だったのかなぁ。。
お茶会の時が1番幸せそうだったよ。
しかし反骨精神は見習いたいわな。

ギャツビーの顔が初めて映った場面は…なんか……レオさんの顔がオリコカードか何かのCMの時と同じインチキ臭い笑顔で若干吹いてしもうたわ。

デイジーのさ、とりあえずこちらと結婚するってのは分かる。
どちらともにちゃんと愛がある・あったのも分かる。
状況も変わって、昔のままではないのも分かる。それは分からない方(ギャツビー)がどうかしている。
そういうのは分かるんやけど、現在の彼女が何が好きなのかが分からん。
それは、この物語が第三者の視点から語られる物語であって、彼(ニック)の他には独白が入らないからなんだけど。
でもあれじゃあ、彼女はお金がメインの動機でふらふらしている「だけ」に見えてしまう。
ギャツビーの真っ当な怒りにさえ怯えた、本質の分からない馬鹿な女に見えてしまう。
多分そんなしょーもない事「だけ」な女性じゃないでしょ、彼女。
「食えない女」である事には変わりないのかもだけどw
彼女が娘について言っていた「可愛く、少しおバカな方が女の子はきっと幸せ」的な台詞のまんまな女性が、実は自分自身であった様な…。
だけどやっぱり自分は思う。
最後の方のあれ、彼女は「知っててやった」と。
それくらいは強かな女性だったはずだ、と。

あの旦那さんの様な、小賢しく小狡く器用なタイプはある程度の出世はするのが世の常よな。
彼は彼で人間臭い部分があって嫌いにはなれない。

自分はつかず離れずな立ち位置のゴルファーの女性が好きだった。
彼女は誰との距離感も弁えてる感じがいい。

例え1人や2人だけ(ギャツビーの場合はニックとお付きの人)でも、自分の事を気づかってくれる友がいたらそれは幸せな事と思う。

レッドフォードの方も観てみたいなぁ。
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