波野なみ松

華麗なるギャツビーの波野なみ松のレビュー・感想・評価

華麗なるギャツビー(2013年製作の映画)
4.0
15年ほど前、村上春樹訳の『グレート・ギャッツビー』を読んだけれど、上流階級の派手なパーティと、ギャッツビーと彼女と語り手の3人で遊んだキラキラした日々、みたいなことくらいしか印象に残ってなかった。
ディカプリオ主演で映画化されたとき(ロバート・レッドフォード版があるからリメイクと言うべきか)、小説とどう違うか見てみなきゃな、と思っていたのが、こんなに時間が経ってしまったら、原作知らずに見たのようなもので、すごく新鮮にストーリーを受け止められた。
こんなせつない話だったっけ?!?
デイジーとの再会を目論むお茶会で、いなくなったあとに雨の中、ずぶ濡れで現れるディカプリオには心を持っていかれた。
全体的に映像がこのうえなく美しく、前半はずっーとウットリしっぱなし。
デイジーが登場するシーンの、白い布が張り巡らされた部屋のソファから、大きなダイヤのめっちゃ洗練された指輪をした美しい手が伸びてくるのも、すごく印象的。なんぼするんや、あの指輪!!
上流階級の描き方が華麗すぎてエグい!!服飾や装飾の美しさったら!!と思っていたら、PRADAとMIUMIUですってよ、奥様!!(※あの指輪はたぶんティファニー)
ビミョーに良し悪しがつけられないと思ったのが音楽。時代とあえてマッチしない新しい音楽を使っていたことに、違和感もあり、それがいいよね、とも感じる部分もあり。
階級格差社会、人種差別、思想対立など、今のアメリカの分断にも通じるテーマが盛り込まれている。
ついつい恋愛物語に流されて観てしまったけど、もう一度深く考えながら見たほうがいいかもしれない。
デイジーはひどいけれど、「愛はなかったと言え」と強制するやり方がやっぱりマズかったなぁ、と転落のトリガーを感じてしまう。
人生はやり直せるのか、というのが文学的な命題だと思ったけれど、子どももいる人妻デイジーに「5年間を消せ」というのは無理な話だよ。
「既婚者で母親だった5年間も含めて私を愛してよ。それも私なんだけど」と思うのが、子持ちの人妻としての意見かなぁ。
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