しゅんぺい

華麗なるギャツビーのしゅんぺいのレビュー・感想・評価

華麗なるギャツビー(2013年製作の映画)
3.6
貴族同士の醜さを描く面白い話だった。トムの愛人の件とかダサすぎて面白い。

予告編を見た時は、久しぶりにかっこいいレオ様を観れると思っていたのだが、蓋を開けてみればまた空虚な男。
序盤から、ギャツビーの正体には嘘があるようなミスリードがなされており、彼は詐欺師でギャッツビーは存在しないみたいな話か、競争社会に病んだニックの空想の話というようなオチなのだとばかり思っていた。

全然違って、ただただデイジーを振り向かせたい成金の話だった。

ただ最後まで見るとここも正直怪しい。

映画内でも描かれている通りおそらくギャッツビーの最も優れた点は、未来に希望を抱く力であり、おそらくだが根源的なギャツビーの希望は金持ちになることであり、デイジーへの恋が1番ではなかったと思う。

ただの仮説だが、ギャツビーは本当にデイジーに恋していたんだろうか?
恋する自分という自己洗脳を利用しているようにも思えた。

実際は、デイジーののぞむ未来を作り上げるというところに、自分が金持ちになるというモチベーションを持ってきたのではないだろうか。

有閑階級の理論によると、貴族というものは暇を誇示的に披露し、消費も誇示的に披露するものとされている。また、その際女性に代理的に消費をさせることで男性の誇示にもつながるとされている。

そういった意味では、ギャッツビーは多少未熟で、誇示が行きすぎたばかりにダサく見えているが、トムの方も正直あまり変わらないように思える。どちらも金持ちで醜い。ニックは、その醜さと憧れを同時に持っていたのが面白かった。
デイジーの行動に関しては、違和感がなかった。
作品を通して描かれる、金がもたらす引力に逃れることは容易ではないというのを見事に倣った女性だと思う。
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