よんぴる

東京家族のよんぴるのレビュー・感想・評価

東京家族(2012年製作の映画)
2.0
朝日新聞の連載記事を読んで、久しぶりに山田洋次映画に触れたくなり鑑賞。

巨匠山田洋次監督による、言わずと知れた小津安二郎監督の名作「東京物語」の現代リメイク。

ストーリーや設定や配役がほぼオリジナル版と同じで現代劇にしており、オリジナル版のセリフ回しやテンポも意図的に?寄せているため、正直違和感を覚えます。

確かに元々オリジナル版が、親元離れて暮らす子供達を上京した両親が訪ねるが、子供達は日常の生活で忙殺されていて疎まれるという、どこの家庭でもある、ありふれた家族の問題をテーマにしていて、時代を超越した内容なわけですが、なぜわざわざ今になって現代劇にしてリメイクしたのかが不明確です。

しかし、その答えはオリジナル版では描かれなかった、妻に先立たれてひとり残された父親のその後の話にあると思いました。

ひとり残されて家事ひとつ出来ない父親が、意地を張って実の子供達の支援を断るのだけど、近所に住む家族からの支援には甘える。また、次男の嫁候補に母親の形見を渡す際に、とても優しい言葉をかけるのだが、そのような温かい人物像はオリジナル版ではありません。

家長制度そのものの父親像を描いたのがオリジナル版だとすると、妻に先立たれた後でも本当の孤立はせずに温かな繋がりを持つ未来を描きたかったのが今作かと。でも、現実はそんな甘くないと思うのですが…
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