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東京家族のmofaのネタバレレビュー・内容・結末

東京家族(2012年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

【違和感と後味の悪さ】

田舎町から老夫婦が上京し、
東京に住む子供たちの家を、転々とする。
 その設定が、今の時代にありそうで、ひきこまれる。
この3人の子供たちが、親を鬱陶しい存在だと思い、邪険にしているワケではない。
 上京する親を迎えに行く手配をしたり、
ご馳走で迎えようとする。
 それでも、自分たちの東京での生活が、最優先である。
 親を、ホテルに泊まらせようとしたり、
仕事を理由に、家に泊めれないと言い出す始末。

そんな状況は、今の世の中には沢山ありそうで、
その姿を、うまく描いているように思う。
 
だからこそ、ずっと、「寂しい」という気持ちが、
胸に残り続ける。
 いくら、心配の種だった末っ子が、結婚する相手を見付け、
安心した・・・という流れがあっても。
 子供たちは、親の心にすくう「寂しさ」に気付かない。
その孫も、気付かない。
 気付かないまま、この映画は、終わってしまうのだ。

この長男・長女、自らが年をとり、同じ境遇になったときに、
気付くのかも知れない。
 母親が急死しても、何ら気付かないまま。
長女が「(こんな急に亡くなるなら)上京してくれてて、 良かったわ」と、
母親と東京で過ごせたことを言葉にするが、
果たして、母親とどんな時間を持ったというのだろう。

 自分のしてあげたことは、「覚えている」が、
していないことは、「覚えていない」

 母親が、寂しい・・・と感じながら死んだとは、考えつかない。

 映画の中で、子供たちが、自分の両親への気持ちを、思いやるシーンが少しでも描いていたら・・・・。
 ただ、描かずに、突き刺さるような感情が、
視聴者の心に残留することが狙いなのかも知れない。
 自分は、どうだ??
そんな風に、問い掛けて欲しい・・・という事なのか。

とはいえ、親への愛情が絶対であってはならない・・と思っているわけではない。
「あああ・・・・こんな父親なら仕方ない」という事もあるに決まっている。
この映画では、橋爪功演じる父親が堅物だという設定だが、
妻とのやり取りから、そんな堅物さは見えてこない。
 子供は、両親の関係を見ている。
多少、堅物であっても、父親が母親に接する姿を重視する。
 この子供たちが、(本人たちには自覚はない)冷たさを、
持ってしまっていることに、違和感がある。
 両親と疎遠になってしまった理由が、この父親母親では、弱い。
 だから、余計に、両親擁護になってしまうのだ。

 という事もあって。
この映画は、末っ子に彼女が出来て、父親も、その彼女を受け入れ、
ヨカッタヨカッタ・・という最後だが、
私は、全く、「ヨカッタヨカッタ」ではない。
 この映画の本質は、末っ子の自立云々ではなく、
子供が親を想う気持ち・・・にあると思うからであって、
そういう面を見ると、何ら、解決していない。
  だからこそ、思った以上に、後味が悪いのだ。
 
 キャストもいいんだけど・・・。
何と言うか、配役に無理があると言いますか。
 
まず、橋爪功と吉行和子が、68歳って設定・・・。
いやいや、年取り過ぎてるって(笑)
年取り過ぎてるから、末っ子の妻夫木くんが、まるで孫のようだし。
長男の西村雅彦との年の差も、大き過ぎて、違和感が。
 そして、妻夫木くんと、蒼井優カップルが、
なんか、時代錯誤的なイメージ。この2人だけ、
何だか、昭和(笑)
 そして、子役は棒読みで可愛げはないし(特に兄貴のほう)

何より、こぶ平・・・・・
いらんわ・・・・こぶ平。
こぶ平ちゃうな・・・林家正蔵。
下手くそ過ぎる。

・・・・という事で。
題材は、身近にあって、興味のひかれる内容であるが。
 最後の美しい海のシーンとは程遠いほどの、
後味の悪さを感じた。

 島に残された父親が、残りの人生をどうやって生きていくのか。
父親が一人であっても、子供たちは、今までと同じように、
離れた東京で生きていくのだろう。

 近所に住む、親族の方々が、
堅物だという設定の父親を慕い、食事や洗濯まで手伝ってくれる・・・という事に、かろうじてホッとする。

 遠くの家族よりも、近くの他人・・・ということか。

結果、何となく、チグハグした映画という印象をもつ。
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